- 渓流釣行前に確認すべき【クマ対策の準備】 会わないことが最重要 投稿日 2022年4月15日 17:00:00 (TSURINEWS)
渓流釣りで1、2を争うリスクと言えば、「クマとの遭遇」に異論はないだろう。筆者は幸い足跡やフンなどの痕跡も目にしたことはないが、「ニアミスだったかも」と反省したことがある。今回はその体験を交えながら、クマに遭遇しないための準備について考えてみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター筑井直樹)
渓流釣りとクマ遭遇リスク
「クマは大丈夫だったかい」--。釣りを終え車止めまで戻ると、オレンジ色のベスト姿のハンターが筆者に声をかけてきた。クマ出没の届け出があったため、警戒のため出動したのだ。
慌ててスマホから地元自治体のホームページ(HP)にアクセスすると、確かに出没情報が掲載されている。脱渓した地点の先の登山道だったが、クマの活動域に踏み込んでいたことを実感した。
過去最多の被害者数
北海道における2021年度のクマによる死傷者数は過去最多の14人。山に入らなくとも、クマ出没の警告看板は日常的に目にする。「このあたりには親子のクマがうちの畑を荒らして困っている」。ある渓流では地元の農家からこう聞かされ、急きょ別の川に目的地を変更したことある。
ヒトの生活圏にもクマが入り込む北海道だが、渓流釣りの場合は本州でも同様の危険性をはらんでいるはずだ。
事前準備が重要
野山に入る際にクマよけの鈴を携帯するのは常識でもあるが、その前にできる限り机上での対策をしたい。
冒頭に記したように、筆者は運よくクマに遭遇しなかっただけかもしれない。事前準備を怠らなければ目的地を変更したり、もっと下流域にとどまったりして後から冷や汗を流すこともなかったはずだ。
公式情報を確認
まずは自治体や森林管理機関などがHPで公表しているクマ出没情報を確認したい。筆者の住む札幌市のHPには、クマの出没マップが掲載されている。足跡やフン、実際に目撃された現場、クマと思われる動物が目撃された現場も日付などとともにピンポイントで落としたものだ。
山麓に沿って目撃例が集中する一方、平地にも出没していることがわかる。こうした出没マップは他の自治体も公開しているので、釣行の目的地選びと並行してぜひ参考にしたい。
北海道庁の情報
北海道全体の状況としては、北海道庁のHPも参考にしている。
登山・アウトドアの際には(1)一人では野山に入らず複数で行動する(2)野山では音を出しながら歩く(行動する)(3)食べ物やゴミを放置しない(4)フンや足跡などヒグマの痕跡を見たら引き返す(5)ヒグマが出没しているところでは早朝や夕暮れ時など薄暗いときには行動しない--などと注意を呼びかけている。
エサやりは厳禁
北海道で最近問題になっているのは、観光客らがクマにエサを与えようとして接近するケースだ。クマに人間の食べ物の味を覚えさせると、食べ物を奪おうと人家に侵入したり、ヒト襲ったりするリスクが高まる。
注意事項の(3)と同様に極めて危険な行為で、一部エリアを対象に自然公園法が厳格化されて罰金が科さるようになったほか、条例で氏名公表などの措置が講じられている。本州の各県もそれぞれクマ出没の現状や独自の対策をHPで公開しているので、定期的にチェックしたい。
SNSも活用を
こうしたHPの閲覧を心がけていても、情報がアップデートされていなかったり、うっかり見落としたりすることがある。そうしたことを防ぐためにはSNSも活用したい。
例えば札幌市はLINEアカウントで友だち追加すると、「【ヒグマ目撃情報】」が配信されるし、ツイッターでは北海道警察も防犯情報発信室というアカウントで情報を提供している。「危険動物NEWS」というアカウントは全国各地が対象で、クマに限らずサルやイノシシなどの出没情報もツイートされるので便利だ。
シカにも要注意
北海道ではエゾシカに出会うのも珍しくない。渓流に向かう途中も含めれば、5回に1回は目にするほどだ。ヒトを襲うことはないと思われるが、興奮すると突進してくる可能性があるので注意したい。
クマが被害者
「被害者にならない一番の方法はヒグマに遭わないこと」。北海道のHPが至極まっとうな呼びかけをしている。筆者がそれにひとこと付け加えるとすれば、「ヒグマに遭うことは”加害者”になりかねないこと」だ。
実際、クマとヒトが出会ってしまえば、人身事故に至らずともハンターが出動し、発見されると駆除される可能性がある。クマに罪はないのにヒトに見つかったがために、結果として駆除されてしまうのは災難以外のなにものでも無い。
我々がクマに出会わないためには、決して無理をしないことと同時に、接近していることをいち早くクマに知らせることが大事だ。そうすれば、クマは基本的には自ら逃げていくとされる。
野生動物との共存の道を探るのは、その生活圏に入るヒトの側の責任でもある。事前の情報収集と周囲の安全確認を怠らず、クマ対策グッズをフル活用しながら大自然とのふれあいをいつまでも続けたいと思っている。
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<筑井直樹/TSURINEWSライター>
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